スイート・プロポーズ
まずは一歩、躊躇いがちにでも、踏み出そう。
自分から。
「部長、いつも何の本読んでるんですか?」
「歴史とかは、良く読むな。あとは・・・・・・御堂 誉とか」
「その作家なら、私も知ってます。本屋で大量に積まれてますよね」
興味を惹かれる内容だったし、何かの賞を受賞したというのもあって、何冊か購入している。
「専務の弟だ」
「え!?」
衝撃の事実に、円花は瞠目した。
「弟・・・・・・あ、御堂」
苗字が同じだと、今気づいた。
「確か、違う名前で官能小説も書いてたな。そっちの売上も、良いらしいぞ」
「官能小説、ですか・・・・・・」
“御堂 誉”の文章は、とても繊細で、丁寧。
官能小説とは結び付かなくて、少し夏目を疑いたくなる。