スイート・プロポーズ
「貸してやろうか?」
「も、持ってるんですか・・・・・・」
まさか、会社で読んでいたり・・・・・・は、さすがにないだろう。
ないと思うことにしよう。
「小宮は何を読んでるんだ?」
「私は、推理小説とか結構好きです」
意識したつもりではないが、本棚にはそのジャンルの書籍が多い。
「あと、推理小説ではないですけど、秋月 栞さんは、新刊が出たら必ず買ってます。知ってますか?」
「知ってる。一冊だけ持ってるが、何て言うか、柔らかい表現をする作家だと思ったな」
円花は嬉しそうに頷く。
自分の好きな作家を、夏目も知っていた。
しかも、こうして趣味の話もできる。
それが、たまらなく嬉しい。
(美琴も読むんだけど・・・・・・)
ちょっとだけ、円花とは好みのジャンルが違うのだ。