スイート・プロポーズ

円花は日本酒のお湯割りを一口飲み、ふと、外を見た。


「雨・・・・・・」


窓を打つのは、小粒の雨。

梅雨も終わり、天気予報は一週間晴れマークだったのに。


「タクシーで帰るか?」

「小雨程度ですし、駅まで行けばなんとか」


なんなら、コンビニでビニール傘を買ってもいい。

窓から視線を外し、円花は再び、味わうようにお湯割りに口をつけた。





雨は止むことなく、結局、夏目のすすめるまま、タクシーで帰ることにした。


「えっと、タクシー代を・・・・・・」


円花は自宅が近づくと、バッグから自分の財布を取り出す。


「ついでだから、気にするな」

「いえ、お店の方も払っていただきましたし、タクシー代ぐらい、払います」


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