スイート・プロポーズ
「えっと、専務にお会いしまして」
「何か言われたのか?」
気になるのか、夏目は視線を逸らそうとしない。
「そうですね・・・・・・まぁ、いろいろと」
「・・・・・・変なことを聞いてないならいい」
夏目は追求するのをやめて、歩きだす。
そのあとに円花が続く。
広い背中に、長い足。
後ろから見ただけでも、いい男の風格というか、雰囲気がある。
「・・・・・・部長」
「ん?」
「いえ、何でもないです」
「そうか」
振り返った夏目が、優しく笑う。
なんだか今、抱き着きたくなった。
その笑顔を、独り占めしたくなった。
「小宮、今度の休み、空いてるか?」
「え? あ、はい」
円花は反射的に答える。