スイート・プロポーズ
「すみません、早過ぎましたね」
リビングに入ると、部屋は適度に冷えていて、汗が引いていくのを感じる。
夏目の自宅は―――想像通り、というか、夏目 優志のイメージに合っている部屋だった。
シンプルで、黒で統一されていながらも、清潔感のある部屋。
「いや、大丈夫だ。コーヒーでいいか?」
「は、はい。・・・・・・あ、これ、どうぞ」
忘れないうちに、手土産を渡しておく。
「チョコレートです。その、部長の好みを良く知らないのですが・・・・・・」
甘いものは好きだと、バレンタインか何かで聞いたことがあった。
「わざわざ悪いな」
「いえ、そんな高い物ではないので。でも、味は保証しますよ」