スイート・プロポーズ

とりあえず、手土産を渡すという第一段階はクリアした。


「・・・・・・」

「どうかしたか?」

「え? あ・・・・・・」


凝視していたのを、気づかれていた。


「その、スーツ以外の部長が新鮮だなぁ、と」


沖縄出張の時にも見たが、夏目の自宅で私服姿を見ると、よりプライベート感が強いというか。


「俺は新鮮というより、不思議な感じだな」

「え?」

「お前が俺の部屋にいるのが、不思議だ」

「・・・・・・」


そう言う夏目は、笑っていた。

苦いブラックではなく、砂糖たっぷりの甘すぎる笑顔。


(・・・・・・心臓に悪いわ)


日に日に、円花の中の夏目という人間が姿を変える。


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