スイート・プロポーズ

円花は知らなかった。

上司の夏目 優志が、こんなふうに笑う人だということを。


シビアでクールな上司様は、他部署であろうと容赦ない率直な意見を口にする。

本人も、泣かせた女子社員は両手じゃ足りないと言っていた。


そんな人が、自分に笑いかけている。


「小宮、どうかしたか?」

「・・・・・・なんでもないです」


あんまり見ないでほしい。

心を見透かされそうだ。


「―――部長って、綺麗好き、ですよね?」


リビングのソファーに座り、円花は改めて部屋の中を観察する。


「そうか?」

「会社のデスクも綺麗ですし」

「散らかってると、仕事に集中できない気がしてな」


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