スイート・プロポーズ

吐息が唇に触れる。

それと同時に訪れたのは、甘いキス――。


「……ん」


本が、床に落ちた。

拾わなきゃ――そう思ったのに、手は誘われるまま、夏目の首へ。

すがるように、甘えるように、夏目の服を掴む。


「ふ……ぁ」


おでこに、瞼に、鼻に、また唇に。

キスの雨に、意識が奪われていく。

触れあう場所から伝わる互いの体温が、心地好くて――。


(私、キス……好きなのかな?)


こんなにも長い時間、キスしたことはない。

それとも、夏目がキス好きなの?


いつの間にか、ソファーに横たわっていた。

重なる夏目の重さが、妙に落ち着く。


「ん……っ」


耳たぶに、キスされた。

次いで、首筋――それから、鎖骨。


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