スイート・プロポーズ
朝の誰もいないオフィスで、静かな読書に耽るこの時間がたまらなく好き。
文庫本だけじゃなく、ハードカバーの本も読むし、面白そうと思えばジャンルも問わない。
要は、本好きなのだ。
学生時代の友人からは、出版社とかに勤めればいいのに、と良く言われたが、読むのが好きなのであって、作りたいわけではない。
「・・・・・・」
2日程前から読みはじめた推理小説は、クライマックスも近い。
「・・・・・・あ、おはようございます」
人の気配がして顔を上げれば、上司である夏目 優志が出社していた。
今年で33歳の彼は、見た目の良さから女子社員に人気がある。
独身で現在フリーらしいが、これといった噂は聞かない。
何よりも、彼の私生活は謎が多い。