スイート・プロポーズ
手の甲に唇を当てて、漏れる声を抑える。
今絶対、顔が真っ赤だ。
普段なら恥ずかしくて逃げ出してしまうのに、夏目の腕の中が心地好くて、むしろこのままでいたいと思ってる。
「――円花」
「……は、い?」
見上げれば、熱を帯びた瞳の夏目。
そんな目で、見ないでほしい。
「いいよ。君からも、触れて?」
「……」
耳に響く声が、優しくて甘い。
塞いでしまいたいのに、聞いていたい気もする。
おずおずと手を伸ばし、夏目の頬に触れてみた。
冷房が入っているのに、頬は熱い。
首を抱き寄せれば、夏目は抵抗することなく円花の首筋に鼻を寄せる。
「部長……好き、です」
抱き締め返してくれる夏目に、胸が熱くなる。
私は今、この人に恋してる――。