スイート・プロポーズ
触れたくて...
目覚めたとき、隣に好きな人がいる。
こんなにも幸せなことは、ないと思う。
あの後、緊張の糸が切れたのか、夏目を抱き締めたまま、円花はすやすやと眠ってしまった。
男としては、不完全燃焼とも言える状況ではあったが、自分の腕の中で眠る恋人の寝顔に、すべてを許してしまった。
そんな彼女を寝室に運び、自分も隣で眠ったのが二時間程前のことだ。
(まだ、起きそうにないな……)
前髪を指で払い、円花の寝顔を覗き込む。
良く眠ってる。
思わず頬が緩みそうになって、小さく咳払いをして誤魔化す。
「……円花、もし俺が……」
「ん……」
円花が小さく身じろぎをして、夏目は言いかけた言葉を飲み込む。
そのまま、円花の頭を支えていた腕をゆっくりと引き抜く。
起きないことを確認してから、夏目はベッドから降りる。