スイート・プロポーズ
暗闇に慣れた目は、明かりがなくても問題ない。
自分の寝室だし、どこに何があるかもわかっているから。
音をたてないよう慎重にドアを開き、閉める。
リビングの明かりは、つけっぱなしだったようだ。
「さて、と」
円花が起きる前に、いろいろとやってしまわないと。
夏目は手櫛で髪を整えると、キッチンへと向かった。
パチパチと瞬きを繰り返す。
暗さに目が慣れてきて、ようやく状況が把握できた。
自分は今、ベッドの上にいる。
誰のかって?
そんなこと、一瞬でわかる。
「私、寝ちゃってたの……?」
体を起こし、キョロキョロと周囲を見回す。
セミダブルのベッドは、一人で使うには広すぎる。