スイート・プロポーズ
「…………」
何か話さなきゃ。
そう思うのに、言葉が出てこない。
「円花」
「――――!」
抱き寄せられ、そのまま腕の中。
ほのかに香るのは、煙草だろうか?
「あ、あの、ここ……っ」
会社です。
そう言うつもりだったのに、抱き締める力が強くなる。
「ちょっとだけだから」
「…………はい」
そのぬくもりに、頬が緩む。
(ホントに、厄介だわ……)
この恋は、中々に手強い。
自分がどんどん、変わっていくような気がする。