スイート・プロポーズ
ペットボトルに頬ずりしながら、円花は本音を漏らす。


「……?」


波奈の反応が返ってこなくて、円花は視線をそちらへ向ける。見れば、波奈は別の方を見ていた。視線の先を追えば、喫煙所帰りだろうか?
夏目と倉本がいた。


「……今井さん?」

「は、はいっ!」


円花が近づいて名前を呼べば、波奈はあからさまに驚いた。肩をびくりとはねさせ、こちらを振り返る。
これは、この反応は……。


(もしかして……)


幸福には上限がある__のかもしれない。
続きすぎた幸せの報いは、必ず自分の身に返ってくる。
そう思っていれば、本当に不幸な事が起きた時、あまり傷つかずに済むかと思っていた。


「小宮さん? 戻ります、よね?」

「え? あ、戻るわよ。戻る」


自分の部署へ戻りながらも、円花は気になっていた。
もしかして、波奈は夏目が好きなのではないか、と。




人を好きになることに、許可は必要ない。
例え相手に恋人がいたとしても、既婚者であったとしても、好きになること自体は罪ではない。
それに、好意を持たれることは、それだけ相手が魅力的であるという事実でもある。

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