スイート・プロポーズ
ちょっと自分の世界に浸っていたせいで、夏目の言葉を聞き逃した。
「すみません。もう一度お願いします」
夏目は呆れたようにため息をつくと、大股で円花に歩み寄る。
そして―――。
「お前が好きだからだ」
「・・・・・・へ?」
またしても、間抜けな声が出てしまった。
(今、ありえない事を聞いたような・・・・・・)
頭が混乱しそうなくらい、衝撃的だったように思う。
「今度は聞こえたか?」
「は、はい」
円花は慌てて頷く。
「返事は急がないから、考えておいてくれ。じゃ、お疲れ」
「お疲れ様でした・・・・・・」
夏目は何事もなかったかのように、立ち去る。
ひとり残された円花は、ふと時計に目が行く。