スイート・プロポーズ
「ありがとうございます」


車に乗り込み、きちんとシートベルトに手を伸ばす。


「じゃ、行こうか」

「はい」


日頃からお世話になっているスーパーへ向かう。ポイントカードも持参している。


「重い物が多いんですけど……」

「安心しろ。荷物持ちをしに来たようなものだからな」


そう言われると、遠慮しなくてもいいかなぁ、と思ってしまう。
程なく、スーパーへ到着した。日曜日ということもあって、家族連れが多いように見える。


「それは?」

「買う物リストです。ホントに重いですよ?」


お米に油、柔軟剤の詰め替えやら、トイレットペーパーとその他諸々。重いだけでなく、量もある。


「う〜ん……」


リストに目を通した夏目が、苦笑する。


「減らしましょうか?」

「いや、彼女のためだ。頑張るさ」


夏目は笑って、円花の手を取る。
【彼女】呼びに頰が緩んでしまったことは、気づかれていませんように。

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