スイート・プロポーズ
「あんたって、ホントにバカね」
小突いた額に、そっと触れる。酔っているからなのか、顔が熱い。
「そういうのは、起きてる時に言ってくれなきゃ」
じゃないと、こっちは何も言えない。聞かなかったことにするしかない。
「……ホントに、バカね」
今でも、時々思う。
あの時、もしも留学のことを知っていたら、と。
誰よりも応援したのに、どうして言わなかったの?
それが、許しがたい。
「でも、1番のバカは私よね」
笑って、美琴は立ち上がる。
そう、1番のバカは自分だ。
だって、今でも忘れていない。薫と過ごした高校時代、付き合いだした最初の日、最後の別れになった卒業式。
そして、貴方がいない数年間。
ふとした瞬間に、思い出す。貴方との、些細な思い出を。
こんなにも忘れがたいなんて……。
「おやすみ、薫」
部屋と玄関を繋ぐドアは、開けたままにしておいた。開けていれば、目覚めた薫が出ていくのが分かる。
明日の朝、君はどんな顔をするのだろう?
それが、少しだけ楽しみだ。
小突いた額に、そっと触れる。酔っているからなのか、顔が熱い。
「そういうのは、起きてる時に言ってくれなきゃ」
じゃないと、こっちは何も言えない。聞かなかったことにするしかない。
「……ホントに、バカね」
今でも、時々思う。
あの時、もしも留学のことを知っていたら、と。
誰よりも応援したのに、どうして言わなかったの?
それが、許しがたい。
「でも、1番のバカは私よね」
笑って、美琴は立ち上がる。
そう、1番のバカは自分だ。
だって、今でも忘れていない。薫と過ごした高校時代、付き合いだした最初の日、最後の別れになった卒業式。
そして、貴方がいない数年間。
ふとした瞬間に、思い出す。貴方との、些細な思い出を。
こんなにも忘れがたいなんて……。
「おやすみ、薫」
部屋と玄関を繋ぐドアは、開けたままにしておいた。開けていれば、目覚めた薫が出ていくのが分かる。
明日の朝、君はどんな顔をするのだろう?
それが、少しだけ楽しみだ。