スイート・プロポーズ
 円花はため息を漏らすと、広報部へ向かって歩き出す。倉本は首を傾げつつ、その後を追いかけた。




 午後、円花は人のいないオフィスでラッピングされた箱を見つめていた。みんなお昼で出払っているため、これを見られる可能性はない。

「どうしようかな……」

 この時間になっても、渡すタイミングが分からないでいた。朝、広報部一同と称して誕生日プレゼントは渡していた。新嶋 莉乃は、個人的なプレゼントも渡していたが、それに便乗するわけにはいかない。

「あー、悩む!」

「じゃあ、さっさと渡せばいいんじゃない?」

「ーーーー!?」

 自分以外の声が聞こえて、円花は慌ててプレゼントを隠す。恐る恐る振り返れば、美琴が仁王立ちでそこにいた。

「なんだ、美琴か……」

 慌てて損した。隠したプレゼントを取り出し、ラッピングが崩れていないか確認する。

「まだ渡してないわけ?」

 隣のデスクに腰を下ろし、美琴はビニール袋からおにぎりやサンドイッチを取り出す。

「何しに来たの?」

「メール、見てないわけね」

 言われて、円花はスマホを手に取る。見れば、メールが一件。美琴からだ。内容は、お昼どうする? だった。

「10分待った。けど、返信がないからコンビニ行って買って来たの。これ、あんたの分ね」

 そう言って、円花のデスクにコンビニで買って来たおにぎりやお茶を置く。

「あ、ありがと」

「どういたしまして。で、どうするの?」

 美琴はペットボトルのフタを開けて、デスクの上のプレゼントを指差す。

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