スイート・プロポーズ
「うっ! それは・・・・・・大丈夫よ。部長は公私混同する人じゃないから」
お互い大人だし、そのあたりの心配はしないようにしている。
「確かにね。でも、ホントにもったいないわよ、断るなんて」
お浸しの残りを、美琴は容赦なく奪って口に放り込む。
「部長のこと嫌いじゃないんでしょ? つき合っちゃえばいいのに」
ニヤニヤ笑う友人の眉間に、デコピンをかます。
「痛ッ」
「尊敬してるし、感謝もしてる。けど、上司と恋愛なんてありえないでしょ?」
それこそ、フッた後の気まずさよりも、つき合ってしまってからの気まずさの方が絶対に無理。
「楽しそうじゃない、上司と恋愛」
「他人事だから、そう言えるのよ」
最後に残しておいたタケノコの天ぷらを楽しんで、円花は箸を置く。