スイート・プロポーズ
「・・・・・・」
チラッとデスクの時計を見ると、もうすぐ他の社員が出社してくる時間だ。
本を閉じ、引き出しに仕舞う。
「部長、カップ下げますね」
「あぁ」
空になったお互いのマグカップを手に、給湯室へ。
程なく、騒々しい足音が静寂を破りながら近づいてきた。
「おはようございま〜す」
「おはよう」
「おはようございます」
朝から元気だなぁ、といつも思う。
整理整頓とは無縁のデスクの主・倉本 淳一は、親しみやすい性格で、男女問わず友人が多い。
「今日もふたり、早いですね」
「一番乗りは小宮だがな」
「たまには遅刻ギリギリで出社したらどうですか? ふたりとも」
倉本は、出社時間がバラバラだ。