スイート・プロポーズ
ただ、こうして早く出社してきたということは、早めに片付けたい仕事がある時。
「え〜っと、昨日まとめた資料は、と」
「少しは片付けたらどうだ? そのデスク」
今にも倒れてしまいそうな、ファイルの山積み。
夏目の指摘に、倉本は気にした様子もなく笑ってみせる。
「いいんですよ。俺にはどこに何があるか、完璧にわかるんで」
(と言いつつ、お目当てのファイルを探せてないじゃない)
円花は心の中で突っ込みを入れ、パソコンの電源を入れる。
倉本の見つけたー、という歓喜の声が聞こえたかと思うと、次いで雪崩の音がオフィス内に響く。
「倉本。始業前に片付けておけ」
「・・・・・・はい」
床に散らばったファイルをかき集める倉本を見て、円花は小さく笑う。