スイート・プロポーズ
「おはようございます。何やってんですか、倉本さん」
他の社員が続々と出社してきて、オフィス内が騒がしくなり始める。
(今日も一日、頑張ろうかな)
真後ろの窓からは、雲ひとつない青空が広がっていた。
―――・・・・・・。
「小宮さん、確認お願いします」
11時過ぎ、恐る恐る声をかけて来たのは、新入社員の今井 波奈。
小柄でふんわりとした雰囲気の彼女の教育係を、円花は任されている。
「すぐに見るわね」
波奈は仕事のスピードは遅いが、丁寧で誤字脱字が少ない。
社内報作成にあたり、少しだけ記事を任せてみた。
「うん。全体的にわかりやすい文章で合格よ」
「ありがとうございます!」
ホッとしたのか、波奈の顔に笑顔が浮かぶ。