スイート・プロポーズ
後ろから勢いよく飛びつかれて、円花は心臓がドキドキと激しく鳴る。
振り返れば、制服姿の美琴。
「何してんの?」
「部長を探して、喫煙所に」
「夏目部長? さっき見たわよ」
美琴が指差すのは、喫煙所とは逆の方向。
「秘書課の杉浦さんが話しかけてた」
「・・・・・・どこにいたの?」
「あっち。行くの?」
行くべき、だろうか?
待っていれば夏目は戻って来るのだし、わざわざ会話を邪魔しに行くのは気が引ける。
「行かないわ」
円花は歩きだし、美琴が逃がすまいと腕を掴む。
「気にしすぎじゃない? 仕事の話をするだけなんだから」
「・・・・・・急用ではないもの」
「そう。じゃ、私も戻るわ」