スイート・プロポーズ
「月曜日、美容雑誌の編集と会うけれど、あなたも同行する? 部長には許可をもらってるわ」
「いいんですか?」
「何事も経験だからね。どうする?」
波奈はすぐさま頷き、嬉しそうな笑みを浮かべた。
彼女の教育係になれたのは、幸いと言える。
何名か入って来た新入社員の中では、波奈が1番素直だ。
「あ、忘れてた。コピーしないと」
円花は席を立ち、コピー機の元まで歩み寄る。
(これを終わらせたら、ちょうどお昼休み、と)
コピーを済ませ、円花は携帯を開く。
(美琴からか)
月島 美琴は、総務部の同期。
気が合うので、部署は違っても交流は続いている。
メールには、少し遅れるからいつもの店で、と書かれていた。