スイート・プロポーズ
そんな彼女が夏目の隣に立てば、絵になるだろう。
「・・・・・・」
「どうかしたか?」
振り返った夏目に、円花は慌てて首を振る。
「な、何でもありません」
「そうか」
聞いてしまいそうになった。
どうして私に告白したんですか、と。
(しっかりしろ、私)
この話題は、今相応しくない。
それに、タイミングを誤れば、返事を求められて逃げられなくなる。
何より、公私混同な質問をして、夏目に呆れられたくない。
円花にとって、夏目は信用を失いたくない、尊敬できる上司なのだ。
過去の厳しい教育も、感謝している。
(かなり泣かされたけど)
前を歩く厳しい上司は、きっと自分がトイレで泣いていたのを知らないだろう。