スイート・プロポーズ
「・・・・・・」
けれど、再会した薫は満面の笑顔で名刺を渡してきた。
(馬鹿みたい、私)
クォーターであるため、薫の瞳は綺麗な青色。
昔は綺麗だと思っていたけど、今は嫌いだ。
「今度、仕事で沖縄に行くんだ。モデルのヘアーメイク頼まれて」
「そう」
我ながら、冷たいと思う。
でも―――。
(こいつには、優しくするだけ無駄よ)
話すこともないし、と美琴は歩きだす。
「ついてこないでよ」
「・・・・・・怒ってるんだよな?」
窺うような薫の声に、美琴は何も答えない。
「その、連絡しようと思ってたんだ。けど―――」
「聞きたくない。聞くつもりもない!」
美琴は振り返り、再び薫を睨みつける。