スイート・プロポーズ

(・・・・・・出張の間に、聞いてみようかな)


マウスを動かしながら、そんなことを考えていた。

出張とは言え、いつもと違う場所へ足を運べば、日常から逸脱した気持ちになる。

告白の理由を聞く機会があるかもしれない。


「いいなぁ〜」

「・・・・・・新嶋さん。昼休みを無駄にするの?」


いつまでも動かない梨乃を一瞥して、円花はため息をつく。


「はぁい」


渋々、梨乃は自分のデスクへと戻っていく。


「・・・・・・っと、携帯は」


時計を見れば、短針が12時を指している。

円花が携帯を確認すると、美琴からメールが来ていた。

【先に行って待ってる】

ほんの数分前に来たメールなので、今出れば追いつくかもしれない。


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