小さな光 ~月と太陽~
『手伝う』って言葉を知らないのかな如月さんは……


あたしはイライラしながら夕御飯の準備をした。


『口は悪い』

『全然優しくない』

『寝起きは結構悪い』


最悪なモノが三拍子もそろっている。
あれでも大人なの?


それにあいつはお母さん達の前ではいい子ぶって本性隠していて、いなくなった途端に本性出したし……


あいつムカつくー。


あんな奴と同居するくらいなら1人の方がましだし……



「さっきから声、出ているんですけど……」


――― ビクッ。


あたしは恐る恐るキッチンの入り口を見ると……シャワーの後でまだ少し髪が濡れている如月さんが壁に背中を預けて立っていた。



「まぁ、よくあれだけ沢山の俺の悪口を言ってくれましたねー」


「え、いや…言った覚えが……」


「無いとでも、言うの?」


「はい」



声に出ていただなんて気付かなかった。


心の中で思っていた事なのに。


「しっかり俺聞いたし。

“口が悪い” “優しくない” “寝起きは悪い”」


「あははは……」


「笑ってんじゃねーよ。
このアホが」






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