小さな光 ~月と太陽~
「藤、アイス食べる?」


「ん、いらない。俺はこっちを貰うから」


あたしの唇を指でなぞる。



「ここ、人いる」


「関係ない」


そう言ってあたしの唇と藤の唇が触れた。


「昨日出来なかったから」とニヤッと笑いながら言ってきた。


あたしの顔はもちろん真っ赤。



「真っ赤になってやーんの」


「~~~藤の意地悪」


「意地悪で結構ですよ」



あたしは俯きながら残りのアイスを食べた。


もう味なんて覚えてない。



「悪いな、純がいて」


「別に大丈夫です。夏川さんといる藤はとっても楽しそうだから…」


「あいつは昔からの友達だから、いいんだな。


つうか、なんでさっきから敬語な訳?」


「別に特に深い意味は…」



本当はちょっと恥ずかしい。

たぶんまだ顔も真っ赤なはず。



「藤?」


その時、知らない女の人が藤の名を呼んだ。


その女の人はとてもキレイな女の人だった。






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