小さな光 ~月と太陽~
逃げたくても逃げる事ができない。


あたしは朱音さんの冷たい視線に捕まった。



「久しぶりね、買い物?」


「…………はい」



顔は笑っているけれど目は全く笑っていない。


怖い目があたしをずっと捕らえたまま。


逃げる事など許されない。



「この後暇かしら?暇だったら少しお茶でもしない」


「大丈夫です…」


「じゃあ買い物が終わったらここから近くの“喫茶店”に来てちょうだいね」


「…………はい」



最初からあたしを逃がす気なんて無い誘い方。


「じゃあ待っているから」


そう言って朱音さんはあたしの前から立ち去った。



正直言うと…


行きたくない。



今、朱音さんと話したくないのが本音だ。


帰りたいけど帰ること許してもらえるはずが無いことが目に見えて分かる。


あたしは急いで買い物を済ませ朱音さんが待つ喫茶店へ向かった。









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