小さな光 ~月と太陽~
藤が帰ってくるまでの時間はいつもより長く感じた。


7時を回っても、8時を回っても藤が帰ってくることは無かった。


そして11時の少し手前。


ガチャッと玄関のドアが開く音が聞こえた。


藤だ!


「ただいま〜」


少し小さな声で入ってくる藤。


「おかえり」


あたしは藤に聞こえるように言った。



「アズ!こんな時間まで起きていなくたっていいんだぞ」


「ん〜眠れなかったから藤を待っていた」


「可愛い事言ってくれるじゃん。
アズはまだお子ちゃまだから1人じゃ眠れないですね」


「お子ちゃま言うな!」


「ハイハイ、アズはお子ちゃまじゃないね」


「おっ飯温かいじゃん」そう言ってあたしが作っておいたご飯を食べ始めた。



ねえ、藤。


あたしがこんな時間までどうして起きていたか分かる?


………分からないよね。



あたしの『お願い』を聞いてもらう為だよ。









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