小さな光 ~月と太陽~
唇が放れていった。


「どうして、抵抗しないんだよ」


初めて聞く、藤の弱々しい声。

それに藤はとても悲しい顔していた。


あたしは藤にこんな顔をして欲しくない。

藤に弱々しい声を出して欲しくない。


藤には笑っていて欲しい。

藤には意地悪でいつものような声を出して欲しい。



「もう何を言ってもダメか?」


「あたしが言う事は、もう…無い」


「…………わかった。



アズ、出掛けるから着替えろ」


「はっ?」


「さっさと着替えろっ」



適当にあたしの服を見つけ「俺がシャワー浴びてくるまでにこれに着替えておけっ」と言って藤はシャワーを浴びに行ってしまった。


「逃げるなよ」


あたしは藤が居ない間に逃げてしまおうか考えたけど藤に見透かされた。


逃げる事が出来なくなったあたしは着替える事にした。



どこへ行くのかわからない。


藤が何を考えているのかもわからない。


シャワーから出てきた藤に「来いっ」と言われあたしは大人しくついていった。








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