小さな光 ~月と太陽~
あたしはカフェに入ると4人用の席に座った。


数分して藤が入ってきて、あたしの隣に座った。


カフェにはあたしたち以外誰も居ない。

今は10時。


あたしたちは何も話さないで座っている。


さっき注文した飲み物が置いてあるが手をつけないでいる。


カチカチカチ…


時計の進む音がカフェ内を包んでいる。



カフェに入ってどれくらい経っただろう。


たぶんそれ程経っていないハズなのに…

あたしには何時間も居るように感じる。



あたしが膝の上に置いてある手が温かい手に包まれ、隣に座っている藤があたしの手をギュッと握ってきた。



「これから俺が言う事、しっかり聞いていろ」



あたしはその言葉にただ頷く事しか出来なかった。



藤が言う事って何?


あたしに何か関係あること?



「藤!!!」


入り口の方から藤の名を呼ぶ人がいた。


藤はあたしと手を繋いだまま立ち上がった。

つられてあたしも立った。







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