小さな光 ~月と太陽~
「アズ?」



1度『別れて』と言ったのに『またやり直したい』だなんて自分から言えない。


…………言える訳がない。



あたしは1度、自分から藤を離してしまった。


「俺が嫌いだったら抵抗しろよ」


突然口を開いたかと思うとキスされた。



『嫌いだったら抵抗しろ』



嫌いなわけが無い。

だからあたしは全く抵抗しない。


……………抵抗出来るわけがない。



「どうして抵抗しない?」


「――――キなの…」


「ん?」


「好きなの…

やっぱり、藤が好きなの。


藤じゃなきゃイヤ」



あたしたち以外に誰も居ない部屋にあたしの声が響く。



「やっとアズの本音が「けどね!!!」



あたしは藤の言葉を遮った。


藤の事は好き。

好きで好きでしょうが無い。


だけど…


あたしは続けた。






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