小さな光 ~月と太陽~
あたしが落ち着いたのを確認すると藤はそっと放した。



「目が真っ赤。うさぎみたいだな」


「また、そういう事言うー」


「あはは、けど泣いた後も可愛いな」


似たような会話…前の時もしたな。

あの時も『ウサギみたい』って言われた…



「梓…」


「何?」


「梓…」


「何?」



さっきからあたしの名前を呼ぶだけ。


『アズ』では無く、ちゃんと『梓』と呼んでくれる。



ポスッとあたしの肩に頭を乗せて、藤がゆっくり話始めた。



「まさか、16歳のガキに俺がこんなにもはまるだなんて思わなかった」


ここで一旦話すのを止めた。



「けど、その16歳がすっげぇー大人に見える…


俺…ヤバイかも」



あたしの事を言ってくれている事がわかる。


藤があたしをそんなように見ていてくれていただなんて…

驚きだ。








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