小さな光 ~月と太陽~
「えーっと…その…」


「誰かな?」



絶対にあたしが誰の事を言ったか分かっているよ。


ジリジリとあたしに迫ってくる藤。

あたしの背中には壁。


逃げられない…


「朝からちょっと“保護者”として“教育”してあげよっか?」


『保護者』『教育』って…

ここで使う言葉じゃないと思うけど…



「アズ、聞いている?」


「聞いてる…」



これから藤が何をするのかわかる。

あたしと藤の距離はどんどん近くなる。



「梓…」


藤はズルい。

あたしが『梓』って呼ばれると何も出来なくなるのを知っていて呼んでくる。


「梓」


あたしはゆっくり目を閉じる。


そして重なるあたしと藤の唇。


朝起きてのキスは日課に近い。


「おはよう、梓」


「おはよう、藤」


キスの後は朝のあいさつ。


藤がニコっと笑って言ってくれる。


あたし…この顔、好き。




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