小さな光 ~月と太陽~
16年間育ててもらって忘れるはずがないその声の主。



「お母さん!?」


「そう、お母さんよ。元気にしている?」


あたしが大声で『お母さん』と叫んだから藤があたしの方へ近寄ってきた。


「お母さん急にどうしたの?」


「あら、親が“可愛い娘”の声を聞きたくなったから電話を掛けたらいけないかしら?」



その『可愛い娘』を何年も1人暮らしのような生活をさせていたのはどっちだよ…


「アズ、藤君は元気にしている?」


「元気だよ」



娘の心配はしないのね…
知らない男と同居させて心配しないんだ…

まあ、あたしと藤が付き合っているだなんて思わないよね。


「今回はただアズの声を聴きたかっただけだから。まだちょっと家を空けるけど藤君に“迷惑”かけないようにね。
あと“仲良く”してね」


「うん、わかった」


「それじゃあまたね」



一方的に話し直ぐに電話が切れた。







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