小さな光 ~月と太陽~
電話からは機械音が規則正しく聞こえる。


「お母さん、何だって?」


「…………声を聞きたくて電話を掛けたんだって」


内容はほとんど藤だったけどね。



けどおかしな話だ。

何週間も経って今頃電話を掛けてくるだなんて。



「あ、藤に“迷惑”かけないようにと“仲良く”って言われた」


「ふぅーん。


じゃあ今から“仲良く”する?」


藤がニヤッと笑った時はあたしにキスをしてくる時。

それが分かっているあたしは思いっきり言ってやった。


「仲良くなんかしないー!!!」


藤はアハハハッと笑い出した。


もしかしてあたし…

「からかったでしょ?」


「からかってない、からかってない。

ほら、飯にするぞ」



そんな笑いながら言われても全然、説得力がない。


「もういいもん」


「悪い、悪い。

だからこれで許して」



チュッと触れた唇。


「許してくれる?」


「………ゆるす」


藤とのキスが嫌いじゃないあたしは藤のキスに弱い。





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