小さな光 ~月と太陽~
「ヤベッ、遅刻しちまう」


時計を見て驚いた。


後15分で藤が家を出る時間。


あたしたちは急いでご飯を並べ食べた。


「藤、おいしい♪」


「それはどーも」



今日はほとんど藤に作ってもらってしまった。


朝は2人でご飯を作ることにしている。

夕ご飯はあたしが作る。
仕事で疲れている藤に料理を手伝わせたくない。

それに夕ご飯は藤の帰ってくるくる時間に合わせている。


温かいご飯、食べてほしいからね。



「アズ、そろそろ行くな」


「ん、行ってらっしゃい」


そして重なる唇。


もしあたし達の生活を誰かが聞いたら絶対『バカップル』って思われるよね…


けどあたしは幸せだからいいや。

藤も同じ気持ちだったらいいな…





あたしはあの電話の意味に気付かなかった。

『まだちょっと家を空ける』

この言葉の意味を知るのは数日経ってからだった。




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