小さな光 ~月と太陽~
今、お母さん達の前で話しているような感じで藤はお客様に接していた。


あたしといる時とは全く違っていてしばらく見ていたような気がする。



「お父さんと相談をして、藤君の事はしばらく様子を見ることにしたの。

もしお客様からクレームがきたらすぐに厨房へ戻す予定だった」


「そこまで進んでいたんですか?」


「そうよ。藤君は仕事が完璧だったからどうしても辞めさせたくなかったの。


大学卒業後は元々私たちの中では正社員に採用するつもりだったから」


藤の几帳面な所がお母さん達に気に入られたんだ。

藤は最後まで完璧にやる。

掃除も隅々まで掃除をする。


この家も藤が来てからよく掃除をするようになり、以前よりはるかにキレイだ。



「少しずつだけど仕事にも慣れてきて藤が笑うようになったの。

厨房でも話したりするようになったと報告され、ロビーでそのまま働いてもらうことにしたの」






< 200 / 311 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop