小さな光 ~月と太陽~
正直…気持ちは複雑だ。


せっかく世界旅行から帰ってきたと思ったら、今度は海外にもホテルを建てるという事でまた家を空ける。



「それでアズも一緒に付いて来てもらう」


「「えっ…」」



あたしと藤の声が重なった。



あたしもお父さん達に付いていくの?

それってもしかして…


「藤とは離ればなれって事?」


「そうなるな…だけ「ヤダッ!」


あたしはお父さんの言葉を途中で遮った。



「ヤダ、ヤダ、ヤダッ。
藤と離れたくない。
ずっと一緒にいたい」


あたしはそう言って藤の腕に抱きついた。



イヤだよ、藤と離れたくない。


あたしの目から涙がどんどん溢れ出てくる。


「ヤダよぉ、藤とずっと一緒にいたい…」


「アズ…」



頭上から藤の小さな声が聞こえてきた。



あたしには藤が必要なんだよ。

藤と『絶対に離れない』って約束したんだよ。



約束…破りたくない。







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