小さな光 ~月と太陽~
藤の本音が、やっと…やっと

聞けた。



「俺だって離れたくねぇよ」


「…………」


「けどな…アズの両親の気持ちを考えたら…

そんな事、言えねぇよ」


「気持ち…」


あたしは今まで自分の気持ちばかりが先走っていて、お父さんとお母さんの気持ちを全く考えていなかった。


「アズは知らないと思うけど…アズのお父さんとお母さんのどちらかは毎日時間を見つけて夜中家に帰っていたんだ。

どんなに忙しい時だって、少しでもアズに会いたくてたくさんの書類を毎日一生懸命片付けていたんだ」




知らなかった。



今まで大体同じ時間に眠っていて、朝までほとんど起きる事のないあたしは知らなくて当然だ。


「俺さ、アズと一緒に暮らすまでほとんど夜勤をしていたからよくアズの両親がどちから1回家に帰る姿を何回か見た事があるんだ」








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