小さな光 ~月と太陽~
「俺だって…本当に行ってほしくねぇよ。俺の目の届くところに置いておきたい。


…………けどそれじゃあダメなんだよ」


「なにが、いけないの?」


「アズの為によくない。

家族と一緒に過ごす事が出来るならその方がいい。


いいに決まっている。



俺とは帰国したらずっと一緒に居られるんだから」


「……………」


「だからさっ…

行ってこい。


俺が“絶対”迎えに行くから」


「うん、うん…………わかった」



幼い頃に家族を失っている藤。

だからこそ分かる『家族の大切さ』



あたしは藤に背中を押してもらって海外行きを決断した。



目に見える何かがあるわけではない。


『絶対迎えに行く』


この言葉しかあたしたちの間にはない。




それでもあたしは藤を

信じる。






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