小さな光 ~月と太陽~
「あらあら…」



そう言ってお母さんはあたしの頬に手を添えて涙を拭ってくれた。


「アズ…笑って。

笑ってくれなきゃ私たちが行きずらいわ」



笑いたくても涙が出てくる。

あたしってこんなに涙もろかったかな?



「アズ、ね、笑って」


「うん………」



自分で涙を拭って2人に笑って見せた。


あたしたち親子の様子を少し遠くから見ている藤。


「しばらく会えないんだからしっかり話してこい」


藤はそう言ってあたしの背中を押してくれた。



優しいよ…藤。




「あたし藤が家に来てくれて嬉しいんだ」


突然話を変えたあたしに戸惑うことなく2人はしっかり耳を傾けて聞いてくれた。



「今までは『1人でも寂しくない』って思っていたけど、本当は『心の奥では寂しかったんだ』って藤が教えてくれたの。

けどね…今は藤がいるから寂しくないよ。

藤はあたしの心を優しく照らしてくれる月みたいな存在」








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