小さな光 ~月と太陽~
藤はその時どんな気持ちだったんだろう…

目の前で家族を失う気持ち。



……………あたしには想像できない。



簡単に「辛かったよね」だなんて言ってはいけない。


その言葉は確実に

藤を傷つける。


あたしは黙って話を聞くだけ。


「俺1人になっちまってさ…生きていけねぇって思った。

けど親戚の家が俺を預かってくれるって話になったんだ。
親のいない俺を預かってくれるってくれるって言うから俺はどんな事でも頑張ろうって思った」



少しだけ藤の声が震えている。


あたしは藤の手をそっと握った。



「その親戚の家がヒドかったんだ。
みんな優しかったんだけど…
やっぱり他人なせいか俺にいっつも気を使ってきてすっげぇー居づらかったんだ」


「…………」


「何で先にいなくなったんだよって何度も思った。

俺は高校を卒業したら親戚の家を出て1人で生活していた。
もうその頃から仕事はしていたから授業料とかも自分で出していた」







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