小さな光 ~月と太陽~
あたしにとって1番大切な人は藤。

藤はあたしを1番大切な人だと思っていた。



あたしは自惚れ過ぎたんだ。



リビングのドアに背中を預けあたしの頬に静かに涙が伝ってきた。


朱音さんから『婚約者』と聞かされたときより
今は辛い。


「別れなきゃ、ダメなのかな?」


あたしでは藤を幸せにしてあげる事ができない。


藤には幸せになって欲しい。


あたし以外の人といて藤が幸せなら
その時はあたしは大人しく身を引く。



それが今迫ってきているんだ。



リビングからは藤の話し声が聞こえてくる。


たぶんさっき掛かってきた『さくら』さんに電話をかけ直しているんだ。




『さっきはすいません』

『それで例の件どうなりましたか?』

『はい、わかりました』

『では…明日でいいですか?』













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