小さな光 ~月と太陽~
『話を聞け』

そう言われてあたしが聞くわけがない。


「もう藤の話なんな聞きたくない」


あたしはソファーから立ち上がり自分の部屋へ戻ろうとしたが


「待て。
俺の話が終わっていない」


いつもより低い声で話す藤に腕を掴まれた。



「ヤメテ、放して」


「無理」


「あたしは話す事がない。
もう藤の顔も見たくない」



強く掴まれていた腕を振り払って
あたしは逃げるように部屋へ走った。


あたしの後ろを追いかけてきてくれた藤だけど、あたしの方が早く部屋へ入り込み内側から鍵をかけた。

この鍵は内側からしか開けられない。


「梓っ!出てこい。
まだ話は終わっていない」



ドアを強く叩いている音が聞こえる。

あたしは布団にもぐり込み耳を塞ぎその日は眠った。


「梓、出てこい。
ちゃんと話そう」










「俺の話を聞いてくれよ…」










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