小さな光 ~月と太陽~
「梓ちゃんの為よ」


「あたしの、為ですか?」


「梓ちゃんは高校生でしょ?
だから荷物の整理でうるさくなったりすると迷惑になるからって…その日は仕事に来ていたわけ」


「じゃあいつ荷物を整理していたんですか?」


「夜よ」


「夜?」



夜中に荷物の整理。

今までは隣の部屋からうるさい物音がした事など1度もない。



「結構、慎重にやっていたみたいだから梓ちゃんも気付かなかったんでしょうね」


「はい…」



本当に言われるまで知らなかった。


何回か如月さんの部屋に入った事があった。

その時にはもうキレイになっていた。


如月さんの見えない優しさがあたしの胸を締め付ける。



「如月君は最近変わり始めたわ。


…………たぶん梓ちゃんといるから」



あたしといるから?

どうしてだろう…



「梓ちゃん、如月君の過去知っている?」


「知らないです」



あたしが知っていいことなのだろうか、

けど気になる気持ちが先走ってしまった。






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