小さな光 ~月と太陽~
「食い終わったか?」


「はい、とっても美味しかったです」



食事を済ませあたし達はホテルを出た。


外はもちろん暗い。


「今タクシー呼ぶから待っていて」


暗いのが怖い事を知っているから如月さんはタクシーを呼んでくれようとしてくれた。


けどあたしはそれを断った。



「タクシーは、要らない。

歩いて帰る…」


もちろん如月さんはびっくりした顔をしている。



「アズ、無理しなくていいんだぞ。
外は暗いからタクシーで帰った方が安心できるだろ?」


「別に大丈夫」



本当は大丈夫なんかじゃ無い。

怖くて怖くてしょうがない。



けどいつまでも暗いのが怖いと言ってはいけないように思った。



如月さんはあたしよりも真っ暗な世界に居たのに、

あたしより深い闇なのに、


今こうしてあたしを気遣ってくれている。



あたしも如月さんの様になりたい。


如月さんが頼ってくれるようになりたい。


あたしが如月さんの闇を照らしたい。




それには暗いのを克服していかなくていけないと思った。







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