小さな光 ~月と太陽~
「何やっているんだよ、お前は…」


聞こえるはずの無い声があたしの上から降ってくる。

そして優しく抱き締められる。


「だから、タクシー呼ぶって言ったのに…」


声は呆れ気味だけどあたしを抱き締めてくれる腕はとても優しい腕。



如月さんが来てくれた。

如月さんが助けてくれた。



ここは道端でもあるが夜な為、誰一人通らない。

あたしは一気に嬉しさが込み上げてきて如月さんの腕の中で泣いた。



温かい腕の中。


そこはあたしが安心できる場所だと思った。



「アズ、動けるか?」


「うん、歩ける」



抱き締める腕を緩めてあたしの涙を拭ってくれた。


如月さんはとても真剣そうでどこか寂しそうな顔をしていた。



この顔、前の時も見た事がある、

そう、あの時。

如月さんが一晩あたしを看てくれた日。



「前も言ったけど『俺を頼ってくれていいから』な…」


「はい…」



周りは暗いはずなのに、どこか落ち着いたあたしがいる。


もしかして如月さんと居るから?






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